必要となる許認可-事業再構築時この許可や資格が必要

「これから新たな事業や業種に進出したいけど…不安」と悩んでいませんか。今回は、ポストコロナの2021年(令和3年)新たな業種や業態に挑戦しようとお考えの方へ、新たな事業展開で必要となる許認可をわかりやすく解説します。


  • 補助金を活用したいけど、新たな事業に許可は必要?
  • 許可はどのくらいで取得できるの?

スムーズに事業を再構築できるよう、必要となる許可や資格を業種別に整理していきましょう!

1.許認可と補助金…取得まで時間のかかる許可も

ポストコロナとなる2021年(令和3年)は、様々な種類の補助金で、補助額や補助割合が拡充されています。たとえば、事業再構築補助金では、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編といった、事業再構築を支援する補助金です。

補助金を活用し新たな業種や新たなサービスを展開しようと考えている方も多いと思います。また、逆に新たな許認可取得を考えておられる方は、補助金を活用できるチャンスでもあります。

許認可の中には、許可や資格を取得するのに時間のかかるものもありますので、これらを把握した上で、計画を立てましょう。ここからは、事業再構築補助金の取組事例を参考に、許可が必要となる業種やサービスをピックアップしお伝えしていきます。

2.食品をネット(ECサイト)で販売するときに必要な許可

インターネットで食品を販売する際に必要なのは、原則、「食品衛生責任者」の資格と、「食品衛生法に基づく営業許可」です。※各自治体の条例等もご確認ください。

すでに、飲食店を経営されている方は、飲食店営業許可を取得されており、その範囲内でテイクアウトやデリバリーを行っている方も多いかと思います。ネット販売にも、食品の種類に応じた営業許可の取得が必要です。

食品衛生法に基づく営業許可が必要になるのは、34業種です。販売するものに合った営業許可を取得しましょう。これらは、保健所が管轄となります。ご不明な点があれば、ネットショップの所在地を管轄する保健所に相談してみてください。

ちなみに、飲食店で食品以外のものをネット通販で販売することも可能です。オリジナル食器やオリジナルキッチン器具といったグッズの販売も出来ます。自社のブランディングによっては有効ですね。

なお、インターネットで商品を販売する時には、必ず「特定商取引法の記載」が必要です。また、販売する商品につける食品表示にもご注意ください。

3.酒・アルコールをネット(ECサイト)で販売するときに必要な許可

インターネットでお酒(アルコール)を日本全国に販売する際に必要なのは、「通信販売酒類小売業免許」です。インターネットで販売できる酒類の種類には制限があります。年間の販売量が酒類品目ごとで3,000キロリットル未満である酒類製造者が製造、販売する酒類(輸入種類は制限無し)です。つまり、大手以外の地酒等と輸入酒に限定されます。

実際にお店で酒類を販売するときは、「一般酒類小売業販売免許」が必要です。ですから、実店舗で酒類を販売しているお店が、ネットショップでも酒類を販売する場合には、「一般酒類小売業販売免許」と「通信販売酒類小売業免許」両方の免許が必要になります。

酒類小売業販売免許の許可管轄は税務署です。免許の申請はネットショップの所在地を管轄する税務署で行います。

実際に、アルコールを販売するネットショップには、年齢制限機能を組み込みましょう。また、インターネットで商品を販売する時には、必ず「特定商取引法の記載」が必要ですのでご注意ください。

酒類販売業免許の解説はこちらから!

4.キャンプ場を経営するときに必要な許可

自己所有の土地を活用して、オートキャンプ場を整備し観光事業に新規参入することも考えられます。キャンプ場の経営には、キャンプ場として整備する土地に係る許可と、提供するサービスごとに係る許可があります。

|キャンプ場とする土地に係る許可

  • 森林を伐採・開発する場合は「林地開発許可」が必要になるケースがある
  • ロッジや宿泊棟などの建築を計画している場合は「開発許可」が必要になるケースがある
  • キャンプ場にしたい土地の地目が、農地の場合は「農地転用」が必要になる

|提供するサービスごとに係る許可

  • 常設のテントやコテージなどにお客さんが宿泊する場合は「旅館業」の許可が必要になる
  • 食材や料理の提供をする場合は「飲食店業」の許可が必要になる
  • ビールなどのアルコール類を販売する場合は「酒類販売業免許」が必要になる

なお、旅館業に該当しないケースでも、テントサウナなど公衆浴場法の許可が必要になる可能性があります。

これら、さまざまな種類の許可が必要になる可能性がありますが、主な許可管轄は保健所になります。条例等により、自治体ごと対応が異なるケースもありますので、行政窓口との折衝を上手に進める必要があります。

キャンプ場経営の詳細解説はこちらから!

5.宅配サービスを始めるときに必要な許可

宅配サービスは、「運送業」に当てはまる場合にのみ届出や許可が必要となります。他人の依頼で、対価をもらい、自動車を使う宅配サービスを始めるのに必要なのは「一般貨物自動車運送事業」の許可です。

事業用の自動車を使い、複数の顧客宛の荷物を運びます。※軽車両やバイクなどでは、一般貨物自動車運送事業は行えません。

一般貨物自動車運送事業許可の申請は、営業所を管轄する運輸支局で行います。申請から許可取得まで3ヶ月以上を要しますので計画的に進めてください。

6.リサイクル(中古品)ショップを始めるときに必要な許可

リサイクルショップは、「古物営業」という業態になります。古物とは、一度でも取引をされたことのある物品のことです。ですから、新古品(未使用でほぼ新品のまま売りに出された物)も古物の対象となります。この古物営業を行う際に必要になのは、「古物商許可」です。

古物商許可は、警察署が管轄となります。許可の申請は、営業を行う所在地を管轄する警察署で行います。

また、「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得すると産業廃棄物の回収ができるようになります。例えば自動車整備工場から出る使用済みタイヤ、木材加工工場から出る木くず等です。

なお、産業廃棄物収集運搬業許可を取得していれば、条件付きで家電リサイクル法4品目の回収ができるようになります。不用品回収業者として事業を拡大するのに大きなメリットです。産業廃棄物収集運搬業許可は各都道府県や政令都市が管轄となります。

産業廃棄物収集運搬許可の解説はこちらから!

7.化粧品を製造するとき許可

化粧品を製造(輸入)して販売しようとする場合は化粧品の製造業または製造販売業の業許可を取得しなければなりません。「化粧品製造業」と「化粧品製造販売業」は別の業許可で、必要であればその両方を取得する必要があります。

製造(輸入)しようとしている商品が、薬機法で化粧品に該当するかを確認します。例えば、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、シャンプー、リンス、石鹸なども化粧品です。化粧品に該当するようであれば、化粧品製造販売業や化粧品製造業といった業許可の取得を検討します。

化粧品製造販売業許可の申請は、都道府県が管轄となります。なお、化粧品を販売だけするのであれば誰でも可能ですが、医薬品や医療機器を販売するには販売業許可が必要です。

8.まとめ

新たな事業展開で必要となる許認可の内容をお伝えしてきました。新たな業種やサービスにチャレンジしようと考えている方は、計画策定にあたり、取り組むスケジュールに合わせた、情報収集や許可取得が必要です。

また、2021年(令和3年)は、補助金の内容が非常に豊富です。使える補助金をチェックし、上手に補助金を活用していきましょう。

2021年(令和3年)活用できる補助金のまとめはこちらから!

許認可の申請をお考えの方や他士業の方へ、申請が分かりづらい場合には一緒にサポートさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。

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