キャンプ場運営を徹底解説-キャンプ場経営に必要な許可とは

ポストコロナの中で、3密を回避したレジャーとして、キャンプ場の人気が高まっています。また、グランピングやガレージキャンプなど多様な施設が増えてきているのが現状です。

これら、オートキャンプ場を代表とするアウトドア施設の需要は今後も伸びていくことが予測されています。


  • 自分が所有している土地を有効活用したいけど、キャンプ場は作れる?
  • キャンプが趣味!趣味を越えて理想のキャンプ場を作り、経営したい!
  • キャンプ場の経営に必要な許可を整理し、アウトドアレジャー事業へスムーズに参入しましょう!

今回は、新たにキャンプ場を経営し、アウトドアレジャー事業に新規参入しようとお考えの方へキャンプ場経営に必要となる許可を中心にお伝えしていきます。

1. キャンプ場の種類

非日常の空間でリラックスでき、感動的な風景を味わえる!自然を生かした特別な遊びを体験できるキャンプが大人気です。そして、ポストコロナの今、キャンプブームが加速しています。

密になりやすい室内を避けた、広大な屋外でのアウトドアレジャーの魅力が、時代とマッチしていると言えます。今では、さまざまな種類のキャンプ場が増え、人によってイメージは、さまざまだと思います。

キャンプ場をつくるにはキャンプ場の種類によって、必要なポイントが変わってきます。まずは、キャンプ場の種類を改めて確認していきましょう。

|ロッジ・コテージ・バンガロー

ロッジ・コテージ・バンガローの説明画像

ロッジやコテージ、バンガローといった、山小屋のような建物に泊まる施設です。テントがいらず、気軽にキャンプ体験を楽しめることがメリットと言えます。

アウトドアは好きだけど、虫が大嫌い!そんな方には最適です。また、小さな子供がいるファミリーや年齢層の高い方にも人気です。

最近では、エアコン等の設備を完備した、まるで貸別荘のような快適なアウトドアレジャーを楽しめる所もあります。

|オートキャンプ場(区画サイト・フリーサイト・ガレージサイト)

オートキャンプ場の説明画像

○区画サイト・フリーサイト

区画がしっかりと確保されている区画サイトや、好きなところにテントを設営できるフリーサイトのキャンプ場があります。

プライベート感がほしい方から人数問わず楽しみたいといった、さまざまな方が楽しめる最もポピュラーなキャンプ場です。電源付きサイトやきれいなトイレやシャワーがある高規格キャンプ場が増えてきています。

○ガレージサイト

最近では、ガレージサイトといったキャンプ場ができています。サイト内にガレージが設置され、ガレージ内に車を駐車し、荷物を置けます。

中には、ガレージ内にトイレ等が完備されたサイトもあり、よりプライベートを重視したキャンプ場サイトとなっています。

|グランピング

グランピングの説明画像

グランピングとは、グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語です。常設テントがあり、寝具やファニチャー、テーブルなどが完備されているのがグランピングの特徴です。

中には、食事の提供をする施設もあります。「自然の中で、優雅にキャンプ体験を味わいたい!」を叶えてくれる、良いとこ取りの施設といえます。

テントや食事の準備の煩わしさから解放してくれることから、世界中でブームとなっています。

2.キャンプ場はどう変化しているのか-キャンプ場の稼働率と客層

|キャンプ場稼働率は過去最高を更新中

ここからは、キャンプ場の運営面から見た稼働率と客層についてみていきましょう。キャンプ場のメインとなる客層は、子供連れのファミリー(30代~40代)層が中心です。コロナの影響から、遊び場不足でストレスを抱える子供が増え、メイン層であるこの需要は変わらないでしょう。

一般社団法人日本オートキャンプ協会のレポートによると、オートキャンプ場稼働率は、過去最高を更新中とあります。

キャンプが好きな方は肌で感じていると思いますが、「キャンプ場の予約が取れない」、「予約を取るために、かなり前から計画を立てた」、そんな経験をされた方も多くいらっしゃることでしょう。

では、キャンプ場稼働率が上がっている要因は、なんでしょうか。

|キャンプ場稼働率が上がっている要因とは

○ソロキャンパーが増えている

1人で好きな時にキャンプ場へ行き、好きなものを食べ、好きなように過ごし、焚き火を楽しみ、好きな時に寝る。大自然の中で自由に、ゆったりと過ごしたい大人が確実に増えています。

○女子ソロキャンパーも増えている

これまでのキャンプというと、「テントを張るのが大変」、「火おこしが大変」、「荷物が重たい」等、女性ひとりのキャンプは、ハードルが高かったです。

しかし、軽くてコンパクトで使いやすいキャンプ道具が増え、キャンプのハードルが下がったことにより、女子ソロキャンパーが増えています。

きれいなキャンプ場が増えたことも追い風となり、「自分の好きな空間で、おしゃれな道具に囲まれ過ごせる」魅力が詰まっています。

女子ソロキャンパーの説明画像

○ふたりキャンパーが増えている

夫婦やカップルでキャンプを楽しむ、ふたりキャンパーも増えています。「お互い共通の趣味」、「相手の趣味を共有したい」、「ソロキャンプも好きだけど少し孤独」等、事情はさまざまです。

子育てを終えられて、趣味の時間を確保できる年代のご夫婦にも人気です。

○秋・冬利用客が増えている

キャンプ場は山間部に多くある為、暑い夏の避暑地とした利用目的が一般的です。しかし、「季節ごとの自然と触れたい」、「春夏だけでは物足りない」といった、シーズン以外の秋・冬の利用客が増えています。

今では、一年中キャンプをするというキャンパーも珍しくありません。

冬にに飲むあたたかい飲み物

○平日利用客が増えている

「休日のキャンプ場が混んでいて静かに過ごせない」、あるいは「休日の予約が取れない」といった事情もあり、平日利用客が増えています。平日のイベント利用や2拍3日するケースもあり、キャンプの楽しみ方が多様化している表れです。

こうした要因に加え、今後ウィズコロナの時代において、安全にレジャーを楽しめる「キャンプ」に対する需要は、さらに伸びていくことが予想されています。

|キャンプブームを加速させているテーマとは

これまで挙げてきたキャンプ場の稼働率や客層は、主に「オートキャンプ場」や「ロッジ、コテージ、バンガロー」についてでした。それでは、キャンプ人気の裾野を広げているさまざまな要因を紹介していきます。

テントサウナの説明画像

○ガレージキャンプ場やテントサウナ等、新たな人気テーマが豊富

オートキャンプ場の中でも、ガレージを設置した「ガレージキャンプ場」もできてきています。

ガレージ内に車や荷物を格納でき、盗難防止や雨天時の暴雨に効果的です。よりプライベートを重視した新しいキャンプスタイルとして、人気が出そうです。

また、キャンプ場でテントを利用した「テントサウナ」も、新しいキャンプの楽しみ方として注目されています。

○グランピングブームが加速

先ほど、キャンプ場の種類でも紹介した「グランピング」の人気です。

グランピング:グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを掛け合わせた造語。常設のテントがあり、気軽に贅沢なキャンプを楽しむことができる。キャンプに不慣れでも魅力を味わいながら贅沢なホテルで過ごすような気分を体感できる施設。

グランピングは、コロナの影響で打撃を受けている観光業界の中でも、やはりアウトドア人気から、比較的影響を受けづらいとされています。

グランピングは、世界中で流行していることから、コロナ収束後のインバウンド効果にも期待がもてます。しかし現状では、施設がまだまだ不足していることから、需要に対して供給が追いついていないのも事実です。

3.キャンプ場の経営をはじめるために-キャンプ場のつくり方

では、キャンプ場をつくるために、どんなことをクリアしていかなくてはならないでしょうか。順番に解説していきます。

|キャンプ場のコンセプト(ターゲットとニーズ)を決める

コンセプトを決めるには、誰をメインターゲットにするべきかの検討が重要になります。これは、メインターゲットとなる客層により、キャンプ場の種類や形態が異なってくるからです。

たとえば、子供連れファミリー向けにするなら、遊びや体験の場が充実している必要があります。また、流行に敏感で、客単価を上げるにはグランピングやコテージなどの検討も考えられます。

さらに、ペットOKとしペット好きな人を対象に加えるか等、詳細にコンセプトを検討しましょう。

|キャンプ場とする土地確保・建設計画(必要な施設)を決める

○キャンプ場とする土地の選択

自己所有の土地を活用するのか、土地を購入・賃借するのか、具体的な土地を決めます。新たに土地の獲得から進めるには候補を複数選択するべきです。

理想的なのは、遊休農地の活用です。耕作放棄地や荒廃農地といった、長年にわたりキャッシュを産まない状態の農地を、キャンプ場として活用することで、安定した収入の創出が見込ます。

また、キャンプ場以外でも、キャンプ場利用者が利用できるレジャー体験施設や家庭菜園体験等、周辺の地域でのサービス提供による、地域全体の活性化も見込めます。

○必要な施設の計画

キャンプ場を構成する施設

  1. キャンプサイト:テントサイト、ガレージサイト、キャンピングカーサイト、グランピング、コテージ、etc.
  2. 管理施設:管理棟、ゲート、柵、etc.
  3. サニタリー施設:トイレ、シャワー、風呂、洗面所、炊事場、etc.
  4. サービス施設:アスレチック、売店、ランドリー、バーベキュー広場、飲食提供、etc.
  5. オープンスペース:緑地、芝生、etc.

1~3は必須となりますが、キャンプ場のコンセプトに沿い検討しましょう。

4.キャンプ場経営に必要な許可と関係法令

キャンプ場の経営に必要な許可には、キャンプ場として整備する「土地」に係る許可と、提供する「サービス」ごとに係る許可があります。それぞれ、みていきましょう。

|キャンプ場とする「土地」に係る許可と関係法令

土地開発の説明画像

○農地転用

キャンプ場にしたい土地の地目が、農地の場合は、農地以外の目的に転用する、「農地転用」許可が必要になります。

農地転用とは

  • 農地(田畑)のまま売買や貸借、交換をする場合
  • 所有者が農地(田畑)以外に使用する場合(例)宅地、工場用地、駐車場など
  • 他人の田畑を買って(又は借りて)農地(田畑)以外にする場合

⇒都道府県知事あるいは、指定市区町村長の許可が必要

農地転用には農地法と農振法が関わってきます。キャンプ場は郊外の山間部がほとんどですから、自己所有の土地を活用するにしろ、土地を購入・賃借するにしろ、ほとんどのケースで農地転用が必要となります。

○林地開発許可

森林を伐採・開発する場合は「林地開発許可」が必要になるケースがあります。

林地開発許可とは

  • 林地開発許可の対象となる森林:都道府県知事が立てた地域森林計画の対象となる民有林 ※国有林と保安林以外の森林はほとんどが対象
  • 林地開発許可の対象となる開発行為:土石の採掘や林地以外への転用などの土地の形質の変更を行うことによって1haを超えての開発行為

こんな場合も林地開発許可が適用されます。

  • 道路の幅員が3mを超え、面積が1haを超える場合
  • 何人かの森林所有者が共同で1haを超える開発を行う場合
  • 何回かに分けて少しずつ合計で1haを超える開発を行う場合
  • ⇒地域森林計画対象民有林で開発行為を行う場合は、都道府県知事の許可が必要です。

○開発許可

ロッジや宿泊棟などの建築を計画している場合は「開発許可」が必要になるケースがあります。都市計画法が関わってきます。

開発許可とは:一定規模以上の開発行為を行なうためには、都道府県知事あるいは指定市区町村長から開発許可を受ける必要がある。

開発行為とは:建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更すること。

|キャンプ場で提供する「サービス」に係る許可と関係法令

飲食を提供するバーベキュー食材画像

○旅館業許可

常設のテントやコテージなどにお客さんが宿泊する場合は「旅館業」の簡易宿所営業許可が必要になります。旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」のことです。

  • テントを常設しないオートキャンプ場 ⇒旅館業許可が不要
  • グランピングやロッジ・コテージ・バンガロー ⇒旅館業許可が必要

では、ガレージキャンプ場はどうでしょうか。

経済産業省が令和3年2月に発表したグレーゾーン解消制度によれば、車庫ガレージとキャンプ用品を貸与するアウトドアレジャーサービスを提供する事業について、旅館業法の規定に該当しないと発表しました。

この事業内容は、キャンプ用品等と自動車の駐車スペースとしてガレージの建屋を貸与するものです。利用客の希望に応じてガレージに隣接するスペースにテントを設置し、テント内で宿泊することができるが、ガレージ内での宿泊はできないケースです。

ガレージの建屋外において利用客が設置したテントで宿泊が行われ、ガレージの建屋内での宿泊が行われない場合に限り、旅館業法第2条第2項及び第3項に規定する「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」に該当しない

経済産業省グレーゾーン解消制度:令和3年2月4日回答

※グレーゾーン解消制度は、他の類似の事業の適法性を保証するものではありませんのでご注意ください。

なお、先般の「GOTOトラベル」では、宿泊業許可がないオートキャンプ場などは対象となりませんでした。

○公衆浴場法

キャンプ場に風呂(浴槽のあるもの)を設ける場合必要になるケースがあります。

  • 旅館業許可あり ⇒許認可は不要(設置基準あり)
  • 旅館業許可なし ⇒都道府県知事による公衆浴場の許可が必要

キャンプ場が「テントサウナ」を設置してキャンプ利用客に利用させる場合も、お風呂と同じ扱いを受け、公衆浴場法の許可が必要になりますのでご注意ください。

○温泉法

温泉風呂を設ける場合は、温泉利用許可を受けなければなりません。また、温泉の成分等の掲示も必要となります。

○飲食業許可

食材や料理の提供をする場合は「飲食店業」の許可が必要になります。さらに、バーベキュー用の精肉を販売するには「食肉販売業」の許可が必要になります。

これらに必要なのは、原則、「食品衛生責任者」の資格と、「食品衛生法に基づく営業許可」です。※各自治体の条例等の確認も必須。

食品衛生法に基づく営業許可が必要になるのは、34業種です。販売する食品の種類に応じた営業許可を取得しましょう。これらは、保健所が管轄となります。

ちなみに、食品以外のものを販売することは、もちろん可能です。オリジナルキャンプ用具やオリジナルTシャツといった、グッズの販売も出来ます。キャンプ場のプロモーションによっては有効ですね。

○酒類販売業免許

ビールなどのアルコール類を販売する場合は「一般酒類販売業免許」が必要になります。酒類小売業販売免許の許可管轄は税務署です。免許の申請は、キャンプ場の所在地を管轄する税務署へ行います。

酒類販売業免許の解説はこちらから!

○その他

条件により、「水道法」や「消防法」が関わってくるケースがありますので、ご注意ください。

これら、さまざまな種類の許可が必要になる可能性がありますが、主な許可管轄は保健所です。条例等により、自治体ごと対応が異なるケースもありますので、行政窓口との折衝を上手に進める必要があります。

5.まとめ

キャンプ場経営について、必要となる許認可を中心にお伝えしてきました。キャンプ場経営により、アウトドアレジャー業界への参入をお考えの方は、計画策定にあたり、取り組むスケジュールに合わせた情報収集や許可取得が必要です。

また、2021年は、補助金の内容が非常に豊富です。新たな事業展開時は、補助金を使うチャンスです!使える補助金をチェックし、上手に補助金を活用していきましょう。

2021年(令和3年)活用できる補助金のまとめはこちらから!

事業再構築時に必要となる許認可の解説はこちらから!

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